特別寄稿
港湾にある検疫所の仕事について
関 なおみ
1
1東京検疫所検疫衛生課
pp.143-146
発行日 2012年2月15日
Published Date 2012/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102343
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はじめに
「検疫」というと,新型インフルエンザ発生時にテレビ等で映し出された機内検疫や,帰国者の隔離・停留のイメージから,国際空港における水際対策がイメージされやすいが,そもそもは,海外の窓口であった港での検疫が主役であった.感染症は人や物の移動とともに海外から持ち込まれるものであり,リヴァプール(イギリス)やアントワープ(ベルギー),チューレーン(アメリカ)など,海外の主要な熱帯医学校が港近くに設立されたのはそのためであろう.
保健所が地域保健法により設置されているのと同様,検疫所は検疫法(昭和27年制定)に基づき設置されている.厚生労働省医薬食品局の管轄となっており,平成22(2010)年現在,海港の検疫所は81か所,空港の検疫所は29か所あり,全国に110か所が設置されている(内訳:本所13,支所14,出張所83).
なお,現在わが国で定められている検疫感染症は,以下の通りである.
・検疫法 第2条1号:感染症予防法(第6条2項)に規定する一類感染症[エボラ出血熱,クリミア・コンゴ出血熱,痘そう(天然痘),南米出血熱,ペスト,マールブルグ病,ラッサ熱].
・検疫法 第2条2号:感染症予防法(第7条)に規定する新型インフルエンザ等感染症.
・検疫法 第2条3号:国内に常在しない感染症のうちその病原体が国内に侵入することを防止するため検査が必要なものとして政令(検疫法施行令第1条)で定めるもの[デング熱,チクングニア熱,鳥インフルエンザ(H5N1),マラリア].
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