特集 感染症法の成果と提言
検疫と感染症法―今後の輸入感染症対策について
田中 義枝
1
,
丸山 浩
2
,
望月 靖
3
1厚生労働省成田空港検疫所
2厚生労働省関西空港検疫所
3厚生労働省新潟検疫所
pp.267-270
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100841
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全国の検疫所は,検疫法(昭和26年法律第201号)に基づき,海外からの重篤な感染症の国内侵入を防止するための業務を行っている.1998(平成10)年に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)(以下,感染症法)が成立し,検疫法も併せて,検疫感染症の見直し,検疫所における検疫感染症の情報収集および提供の規定が設けられる等の改正が行われた.しかし,近年の目覚ましい国際化の進展,さらには米国の炭疽菌事件等の病原体が生物兵器または犯罪の手段として意図的に用いられる状況や,プレイリードッグとペストの関係などをはじめとする動物由来感染症の問題などからも,海外からの輸入感染症※に対するわが国の対応として,検疫制度も含め,さらに考慮していく必要があるものと考えられる(※輸入感染症とは,次に述べる「提言」では「海外からわが国に入ってくる感染症で,国内での感染拡大等によって社会的影響をもたらすおそれの高い感染症」を特に対策の必要な輸入感染症として整理しており,本稿でもその概念で用いた).
本稿においては,全国の検疫所職員の意見を集約した全国検疫所長協議会からの,平成13年12月の「今後の輸入感染症対策に関する提言」および平成14年4月の「提言を踏まえた現行検疫法上の規定に関する意見」を踏まえ,検疫機能も含めた輸入感染症対策の方向性について述べたい.
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