保健婦活動—こころに残るこの1例
たくましく生きた女性の,最期の選択
魚崎 須美
1
1兵庫県立総合衛生学院
pp.438
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900370
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私が保健婦になって3年目の秋,民生委員さんから「ユキさんという91歳の独居女性が,近頃あまり買い物に出なくなった.気になるので一度訪問してもらいたい」という連絡が入った.
ユキさんは群馬県生まれ.娘時代に出稼ぎのため大阪に出てきた.戦時中に空襲を逃れて神戸へ来てそのまま住みついた.戦後は競輪の予想屋をして生活し,その頃競輪場で知り合った男性の妾となった.旦那が「妾でも,自分で生きていく力を持っていたほうが良い」と,指圧師の勉強をさせてくれたので,旦那が亡くなった後は,指圧師をして84歳まで収入を得ていた.
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