特集 トータルヘルスプロモーションの実践
健康増進活動の意義と役割
青山 英康
1
,
甲田 茂樹
1
,
津田 敏秀
1
Hideyasu AOYAMA
1
,
Shigeki KODA
1
,
Toshihide TSUDA
1
1岡山大学医学部衛生学教室
pp.373-376
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900355
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◆はじめに
平成元年は単に年号が変わっただけではなく,「健康・体力づくり」に対する行政の対応が大きく転換した年でもあった.
東京オリンピックを契機として,「体力づくり国民運動」の展開が閣議決定された時には,これを所管する省庁も少なく総務庁(当時の総理府)が主管することになった.この頃と現状とを比較すれば,まさに隔世の感がある.今日では「健康・体力づくり」に対して,なんらの取り組みも行っていない省庁を探し出すのに困難を覚えるといった状況である.
国際的に他に例を見ない,急速な高齢化社会を迎えているわが国の現状を先取りするように,すでに昭和47年(1972)には労働省が,労働安全衛生法の施行に際して,就業人口の高齢化と定年延長に備えて「中高年齢者への特別な配慮」一「シルバー・ヘルス・プラン」(SHP)への取り組みを事業所に求めている.
その後,厚生省は「国民健康づくり10カ年計画」を公表し,文部省も生涯を通じてスポーツを楽しむことのできる体力づくりとして「生涯スポーツの振興」を打ち出し,通産省の「余暇の開発」とか農林水産省の「農民の健康調査」など,各省庁が各々の所管する分野での「健康・体力づくり」を重点施策として打ち出している.
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