特集 保健医療ソーシャルワーク
保健医療ソーシャルワークの今日的課題
荒川 義子
1
Tomoko ARAKAWA
1
1関西学院大学社会学部
pp.156-158
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900293
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■はじめに
近年の保健医療分野における著しい変化は,保健医療サービスを必要としている対象者はもちろんのこと,そこで働く者にとっても大変厳しい状況を生みだしている.人口の高齢化,疾病構造の複雑化・長期化に伴う医療費は年々増加してきている.国はやがて到来する高齢化社会に備えて,医療費の抑制を図りつつ,疾病の予防および健康増進のためのプランを立案し,多様な施策を講じてきている.すなわち,国民医療費の適正,かつ効率的な配分をめぐり,入院治療が適切か否かをチェックする入退院判定委員会が病院に設けられて,入院期間の短縮が図られ,長期入院患者は転院あるいは退院を余儀なくさせられている.したがって,患者は地域で生活せざるをえなくなり,医療もこれまでの病院中心から,地域へとその範囲を拡大してきている.
過去十年にわたって進められてきた行政改革に伴う医療,保健,福祉制度改革は,受身的な要援護者から,自らのニーズに基づいて主体的に選択し,決定する生活者へとその対象者観を転換させ,「自らの健康は自らで守る」という自助努力を促してきている.
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