特集 産業看護
労働と健康の調和のための産業看護の特色
飯島 美世子
1
Miyoko IIJIMA
1
1(株)相模鉄道人事部診療所
pp.96-99
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900275
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
産業看護は,職業生活に伴う有害要因や顕在する健康障害のみでなく,個人や集団の職業生活の各面にわたる諸条件を考慮し,労働生活の質の向上QWL(quality of working life)を目指して行う支援活動といえよう.それはまた,仕事の人間への適合と人間の仕事への適応を図ることに関与するものであり,個人への働きかけと共に組織や集団への働きかけが重視される活動である.そして働きかけるときの姿勢の中に,働く人びとの人間性を尊重し,全人的な把握のもとで支援するという看護の理念が生きているものと思われる.
かつて結核対策が健康管理の大きな課題であった時代の産業看護業務は,疾病の早期発見・早期治療を進める一方で,就業に当たっての注意や生活面での指導,また要注意者などフォローを必要とするものに対して定期的な検査と指導を行う,いわゆる,疾病管理が大きなウエイトを占めていた.そこでは,労働と生活に密着した指導が行われ,その業績は高く評価されている.
近年,健康管理のなかで対策が急務とされている疾病は,高血圧や糖尿病,肝疾患,がんなどのいわゆる成人病である.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.