調査報告
岐阜市の医療系専門学校の女子学生におけるレイノー現象
井奈波 良一
1
,
梶間 和枝
2
,
松田 好美
2
,
田中 静子
2
,
吉田 英世
3
,
永田 知里
3
,
岩田 弘敏
3
Ryoichi INABA
1
1岐阜大学医学部公衆衛生学教室
2岐阜大学医学部付属看護学校
3岐阜大学医学部衛生学教室
pp.867-870
発行日 1990年12月15日
Published Date 1990/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900246
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●はじめに
レイノー現象は,寒冷への暴露などの際に起こる発作性の手指の蒼白現象で,典型的なレイノー現象は蒼白,チアノーゼ,発赤の3相性の変化を呈するとされている1).レイノー現象は,原因によって一次性と二次性に分類される.すなわち振動工具の使用や,閉塞性動脈硬化症,膠原病などの基礎疾患に起因してレイノー現象を呈するものは,二次性レイノー現象と呼ばれ,一方,認むべき基礎疾患なしにレイノー現象を呈するものは,レイノー病あるいは一次性レイノー現象と分類されている1).
レイノー現象は,10〜30歳代の女性に好発するとされている2)が,その有症率についての報告は少なく,しかも報告者によって差異があり,見解の一致をみていない現状にある.すなわち,女性を対象としたレイノー現象の有症率に関して,OlsenとNielsen3)は,21〜50歳の病院(デンマーク)で働く健康な女性の理学療法士のうち,22.4%がレイノー病を有していたと報告している.Leppertら4)は,18〜59歳の一般女性住民(スウェーデン)の手指のレイノー現象の有症率は15.6%であったと報告している.一方,わが国においても女性,特に若年女性のレイノー現象の有症率に関する報告は少なく,未だその実態が明らかにされていない.
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