連載 衛生行政キーワード・155
消防機関における多数傷病者対応と救急需要対策の展望
飯田 龍洋
1
1総務省消防庁救急企画室
pp.842-847
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210359
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はじめに
消防機関は、わが国では総務省が所管し、市町村が運営主体の自治体組織である。その任務は災害救助から救急業務にまで発展し、1963(昭和38)年に消防法において救急隊が行う救急業務が既定され、制度改正を重ねながら現在の病院前における救急体制が構築されている。
消防機関の果たすべき役割は、国民の生命・財産を守ることであるが、大規模イベント時におけるNBC(nuclear weapon, biological weapon, chemical weapon)テロ対策等に加えて、激甚化・頻発化する自然災害等への備え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時の対応、さらに、平時を見据えた救急需要の増大への対策、これらは個々の状況は異なるが、救急ひっ迫時にも円滑な多数傷病者対応が求められる点は共通である。
本稿においては、消防の救急体制のうち指揮体制とトリアージ体制を概説するとともに、特に保健・医療に携わる方々にも幅広く認知いただきたい救急需要対策の論点を述べる。
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