連載 All about 日本のワクチン・20
おたふくかぜワクチン
後藤 研誠
1
1江南厚生病院こども医療センター
pp.848-851
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210360
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1.当該疾患の発生動向
ムンプス(おたふくかぜ)はムンプスウイルスによる全身性感染症であり、耳下腺のびまん性腫脹と疼痛を特徴とする疾患である。無菌性髄膜炎の合併頻度が高い(1〜10%)。脳炎の頻度は0.02〜0.3%と低いが後遺症を生じる可能性がある。ムンプス難聴(0.01〜0.5%)の多くが片側性だが高度な感音性難聴を来し永続的な障害となる1)。
おたふくかぜワクチンは、わが国においては1981年に任意接種として導入され、1989年には麻疹・おたふくかぜ・風疹混合(measles, mumps, rubella: MMR)ワクチンとして定期接種化された。しかしMMRワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生(約1,200〜2万接種に1例)が問題となり、1993年にMMRワクチンの定期接種は中止され、以降おたふくかぜワクチンは単味の任意接種ワクチンとしてのみ使用されている。
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