映画の時間
—全米が、世界が笑い、涙する—シアター・キャンプ
桜山 豊夫
pp.1169
発行日 2023年11月15日
Published Date 2023/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210182
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新学期が9月から始まる米国の夏休みは3カ月近くあり、進級前でもあるので宿題もなく、子どもたちは自由に休暇を謳歌しているようです。しかし長すぎる(?)夏休みは親にとっても難題で、子どもをサマーキャンプに入れる家庭も多いようです。数日間から数週間に及ぶものまで期間はいろいろあるようですが、子どもは親から離れて、「合宿プログラム」に参加します。集団生活に飛び込んで「充実した」時間を過ごすことになりますが、親にとっても、子どもの世話から解放される「夏休み」になることから、サマーキャンプが盛んになり、多彩なプログラムが用意されています。今月ご紹介する『シアター・キャンプ』はサマーキャンプのプログラムの中でも人気の一つで、演劇サークルの合宿のように、子どもたちが演劇スクールに集まって、ひと夏を共に過ごし、演劇のテクニックを学んで、最後には「作品」を上演する人気の高いイベントです。伝統あるシアター・キャンプには、俳優を夢見る子どもたちが、夢の実現のための初めのステップとして集まってきます。
本作の舞台も、長い伝統を誇るシアター・キャンプの一つです。華やかなキャンプですが、それを維持するための経営は決して甘くありません。いよいよ今年の夏の参加者募集という段階で創始者のジョーン(エイミー・セダリス)が倒れ昏睡状態に陥ります。演劇には無関心でトレーダーをしていたジョーンの息子トロイ(ジミー・タトロ)が急きょ、責任者に担ぎ出されます。銀行からは差し押さえ予告が届き、別の大手演劇スクールからは買収の話も舞い込みます。
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