連載 日本の災害と公衆衛生——過去・現在・未来・9
富士山噴火——そのとき何が起こるのか? 何をしておくべきなのか?
石峯 康浩
1
1山梨県富士山科学研究所 富士山火山防災研究センター
pp.706-710
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210094
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はじめに
火山の大噴火が発生すると、降灰によって交通網が麻痺し、物流が停止する可能性がある。停電や断水が発生するリスクも高い。被害が深刻な地域では長期避難や移住を余儀なくされる。火山灰等による健康被害も懸念される。これらの事態から派生する公衆衛生上の課題は多岐にわたるが、十分に検討されているとは言い難い。
日本には111もの活火山があり、どこに住んでいても噴火災害に巻き込まれるリスクがある。その中でも富士山はひときわ危険である。近い将来、噴火し、甚大な被害を引き起こす可能性がある。首都圏に近く、その噴火が日本全体に与える社会的・経済的影響は極めて大きい。
富士山噴火の影響を最小限にとどめるには、その対策を国民一人一人が真剣に考え、少しずつでも可能な備えを進めることが重要である。本稿は、そのきっかけとなることを目的として、富士山の過去の噴火の概要を紹介した上で、将来の噴火に向けて優先的に検討すべき課題を提示したい。
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