連載 衛生行政キーワード・147
ICD-11国内導入に向けて
堤 雅宣
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1厚生労働省保険局医療介護連携政策課 医療費適正化対策推進室(元国際分類情報管理室)
pp.341-344
発行日 2023年4月15日
Published Date 2023/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401210029
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はじめに
世界保健機関(World Health Organization: WHO)は2022年1月にICD-11を発効し、同年2月には発効後初めてのICD-11 for Mortality and Morbidity Statisticsを公開した。現行のICD-10は、これまで数次の改訂を経て20年以上、DPC/PDPS(diagnosis procedure combination/per-diem payment system)での診療報酬請求をはじめ広く国内で活用されてきた。厚生労働省は現在、各関係者の協力の下、ICD-11に準拠した統計基準「疾病、傷害及び死因の分類」を作成するため、さまざまな準備を進めてきている。
ICD(ICDコード)は、国内外を問わずあらゆる医療データベースにおいて、病名情報として用いられており、その目的通り、共通言語としての役割を果たしている。国内においても、データを活用した政策立案の必要性がますます高まっている厚労行政とICDは切っても切れない関係にある。筆者も厚労省では過去に診療報酬・DPC/PDPSを担当し、ICD-10の2013年版への置き換えに対応したことがあり、統計基準の改訂に伴うデータの変化をリアルタイムで経験した。筆者は、ICD-11が発効された2022年1月に国際分類情報管理室長(通称、ICD室長)であったが、現在はICD室から離れており、その上での私見を交えた記述であるため、この文章については厚生労働省はじめ関係組織の公式な見解とは必ずしも一致しない場合があることを申し添える。
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