特集 徹底解説! 健康の社会的決定要因(SDH)とは—コロナがもたらした貧困と格差
Editorial—今月号の特集について
西塚 至
1
1墨田区保健所
pp.481
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209853
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社会的要因により健康を脅かされている人々
長期化する感染症、緊迫化する世界情勢、消費者物価の上昇により、日本経済の下振れリスクが高まっています。非正規雇用者が職を失う、アルバイトが見込めず進学を諦めるなど、立場の弱い人が追い込まれ世代内格差が広がっています。経済格差など社会経済因子に加え、人種、性別、所得、教育、就労形態、家族構成、居住環境などの個人因子は、個人と集団の健康格差に関連するとされており、こうした個人または集団の健康格差をもたらす経済的、社会的状況のことを健康の社会的決定要因(social determinants of health: SDH)と言います。
私たちは不健康、不摂生な人に対して安易に「自己責任論」を振りかざしていまいがちですが、所得や家庭環境、就労環境によって、自らの健康を維持する最低限度の条件すらむしばまれつつあるという異常事態です。一方、各自治体では、感染症の影響で生活困窮者や孤立する人への寄り添い支援が困難となっています。
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