Editorial—今月号の特集について

「三文にて歯二つ」轍を踏むな

　「三文にて歯二つ」は鎌倉時代中期の仏教説話集『沙石集』の一節。奈良の男が虫歯を抜くために歯医者を訪れ、一本二文のところ交渉の末、三文で二本の歯を抜かれ、虫歯とともに健康な歯も失う話です。欲深さが自分に不利益をもたらす教訓を伝えています。

　2025年、わが国は現役世代の人口の急減という新たな局面を迎え、社会保障制度の持続性確保が課題となり、給付と負担の見直しに関する国民的議論が行われています。