連載 リレー連載・列島ランナー・143
過疎地域における自治体と連携した認知症予防の取り組み—行動変容理論を基にした健康習慣の獲得を目指して
桑島 悠輔
1
,
加藤 雄輔
1
1医療法人雄仁会加藤病院
pp.111-113
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209563
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はじめに
日本は平均寿命が84歳を超えており,世界一の長寿を誇る一方で,少子高齢化が急速に進んでいる.山間部などの地方では一層顕著であり,過疎化が進行している自治体の増加は,深刻な社会問題となっている.このような状況下で,加齢に伴い罹患率の高まる「認知症」は,日本における喫緊の課題となっている.全国で認知症に対して,さまざまな治療が行われているものの,いまだに根本から治療する方法は解明されていない.しかし,遅くとも軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)および,それ以前の段階であれば,後述するような適切な生活習慣を送ることで,認知機能の改善が可能といわれている1).
大分県竹田市(以下,当市)は,高齢化率が45.1%と高く,典型的な過疎地域となっている2).そのような当市において,筆者らは自治体と連携し,65〜74歳の方を対象とした,20名を定員とする「認知症予防教室」を2017(平成29)年から開催している.本稿に紹介する取り組みを少しでもご参考いただき,「健康的な生活習慣の獲得」を図る際の一助になれば幸いであると考えている.以下に,取り組み内容や工夫点を紹介し,その上で得られた成果の報告と今後の展望を述べる.
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