連載 リレー連載・列島ランナー・134
死別の困難に応じられる地域社会をつくる試み
山崎 浩司
1
1信州大学医学部保健学科
pp.335-338
発行日 2020年5月15日
Published Date 2020/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209390
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はじめに
筆者は,自分が暮らす信州地方を,死別の困難に対して少しでも共感的で支援的な地域社会にしたいと願い,有志市民や学生とともに,2012年からさまざまな活動に取り組んできた.断っておくと,死別の困難に直面する人々に対して,信州が特に冷たいわけではない.日本社会全体が,死別の苦しみに対して十分に支援的であるとは言い難いのである.これは,例えば英国スコットランドのように,死別ケアについて明確な指針が公的に示され1),政府とNHS(National Health Service)と民間の支援団体が協働して,死別の困難に対する支援を要する全ての国民に国を挙げて対応しようとしている社会と比べたときの筆者の実感である.
本稿では,筆者がメンバーである市民団体「ケア集団ハートビート」(以下,ハートビート,筆者ら.URL:https://www.hbshinshu.com)の取り組みを中心に,死別の困難に応じられる地域社会をつくる試みについて述べる.なお,その取り組みを単に紹介するのではなく,それぞれから行政や医療専門職が市民との協働を模索する際のヒントを少しでも提供できるように論述したい.
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