特集 摂食障害の理解と対応
摂食障害に関わる当事者支援—回復は日常の現場で起きている!
武田 綾
1
1特定非営利活動法人のびの会
pp.750-755
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209248
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はじめに
わが国の摂食障害(eating disorder:ED)の歴史は,極端な食事制限と激しい運動によって全身の衰弱をもたらす,「思春期やせ症」と称されていた時から始まった.しかし,今や摂食障害は「思春期」だけでも「やせ症」だけでもなくなっている.それは,近年,摂食障害に関する相談が,臨床現場だけではなく,公衆衛生の現場の一つである保健所や保健センターにも寄せられていることからもうかがえる.
西園ら1)が全国の保健所や保健センターで実施した摂食障害についての調査では,相談事例の約半数が未受診か治療中断,40歳以上が18%,10年以上の罹病期間が22%であった.これは,対象が早期の治療的介入の機会に失敗したまま慢性化し,高齢化したことを示している.地域での精神保健相談で受ける精神疾患の処遇困難例と言っても過言ではない.
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