映画の時間
—静けさのなか水は流れ,大地は深まり風に火は立ちのぼる—聖なる泉の少女
桜山 豊夫
pp.709
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209236
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冒頭で旧約聖書「創世記」の第1章2節にある「神の霊が水の面を動いていた」(新共同訳)という言葉が紹介された後,滝の流れが描写されます.映像を見つめていると,滝の水は徐々に濁っていき,最後には白濁した水が流れていきます.天地創造の初めに地を覆っていた水,その水が何かによって濁っていく様子.本作品のテーマを象徴するような映像です.
ジョージアの山深い村に住む初老の父親と少女.村には人々の病や傷を癒やす聖なる泉があり,父親はその泉を先祖代々守っているようです.少女には兄が3人いますが,それぞれ村を出ています.父親は泉を守る役割を少女に引き継ごうと考えているようですが,少女は自分の将来に対して,漠とした不安を感じているようでもあります.
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