映画の時間
—わたしは,この熱い大地から生まれた.—火の山のマリア
桜山 豊夫
pp.229
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208391
- 有料閲覧
- 文献概要
乳児死亡率の減少とともに,「すべての子を望まれる子に“every child;a wanted child”」も,重要な母子保健の目標のひとつです.これを実現するためには,「望まない妊娠」を防ぐことが必要です.近年,その増加が問題となっている「児童虐待」においても,「望まない妊娠」が児童の虐待につながる恐れが高いと考えられており,「望まない妊娠」を防止することが虐待予防のうえでも重要です.今月ご紹介する『火の山のマリア』は,「望まない妊娠」が,重要な要素となっている映画です.
舞台はグアテマラのコーヒー農園です.マリアは両親と3人暮らし.マヤ人である彼らはグアテマラの公用語であるスペイン語を話せず,貧困のなかにあります.両親は土地を借りてコーヒー農園の仕事をしている小作人のような立場です.しかし天候不順や,農園へ毒蛇が侵入するなどで,コーヒー栽培が不可能な状況が続きます.そんなとき,土地の持ち主で農園経営の責任者とマリアとの結婚話が持ち上がります.彼は妻に先立たれた子連れの再婚ですが,マリアが結婚すれば両親の生活は安定します.しかしこの結婚に,マリアは必ずしも乗り気ではありません.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.