特集 新型たばこ—健康影響と規制のあり方
新型タバコのインパクト—喫煙に関する実態調査および研究にどのような影響があるか
田淵 貴大
1
1大阪国際がんセンターがん対策センター疫学統計部
pp.608-613
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209206
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はじめに
タバコといえば,これまではずっと,ライターやマッチで火をつけて使う,紙巻きタバコであった.しかし,新型タバコの登場によって,日本では,そのタバコの定義が変わった.
「あなたはタバコを吸っていますか?」
病院でも診療所でも健康診断でも,国が実施する住民調査においても,この質問が何十年ものあいだ使われてきた1).そして,この質問に「現在吸っている」と回答した人が「タバコを吸う人」(現在喫煙者)と定義される.「以前は吸っていたが,現在はやめている」と回答した人が「やめた人」(過去喫煙者)と定義され,「もともと吸わない」と回答した人が「吸わない人」(非喫煙者)となる2).
この定義の下でモニタリングが実施され,また,喫煙者における病気になる頻度が調査されて,医学研究は実施されてきた.しかし,新型タバコの登場・普及によって医療や調査の現場に混乱がもたらされている.
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