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連載 海外の文献から・3
タバコか健康か—ガンの一原因としての喫煙
Tabacco or health: Smoking as a cause of cancer
城川 美佳
1
1東邦大学医学部公衆衛生学教室
pp.500-501
発行日 1992年6月10日
Published Date 1992/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900516
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- Abstract 文献概要
喫煙がガンの一要因であることは,よく知られている。特に喫煙と関連のあるガンとしては,肺ガンがよく知られており,肺ガン患者の90%以上は直接的に喫煙と関連があるという報告もある。しかし,喫煙と関連があるのは呼吸器系のガンだけに限らない。喫煙者は口の入り口から食道にかけて(口唇,口腔,咽頭,食道,喉頭),さらには膀胱や腎臓などの臓器に生ずるガンについてもハイリスク者(高危険者)なのである。また先進国では途上国よりも,この因果関係がはっきりと現われている。
米国では1978年,喫煙が全ガン死亡率にどれくらい関与しているかを推定する目的で,喫煙者の疫学調査を行なっている。その結果,喫煙歴に性差があるために喫煙関連ガン死亡にも性差があるものの(男性ガン死亡の43%,女性ガン死亡の15%),全体としては米国の全ガン死亡の約30%がタバコ喫煙と関連している,と報告した。この割合はその後の調査でも上昇ぎみであり,1980年代半ばでは米国の全ガン死亡の約1/3がタバコ関連によると推定されるようになった。
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