特集 循環器疾患を予防する
循環器疾患予防を目的としたICTの活用
岩堀 敏之
1
1神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科
pp.356-361
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209139
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はじめに
近年,情報通信技術(information and communication technology:ICT)の進化によって身近な情報の集積が容易になり,データの利活用が加速している.例えば,ネット通販などの商取引では日々,大量の購買情報が集積され,データ分析がなされている.これによって,顧客の属性に応じた「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といったレコメンド(推奨)サービスなどが提供されるようになった.こうした身近な大量のデータを集積したビッグデータ(big data)の利活用は近年,ヘルスケアの分野にも波及してきている.例えば,家庭用の健康医療機器の情報は従来は機器内にとどまっていたが,個人の同意が得られたデータは匿名化処理がなされ,インターネットを介してビッグデータとして集積されている.これを公衆衛生の観点から循環器疾患の予防に役立てようとする動きが出始めてきている.
本稿では,ヘルスケア分野におけるデータの利活用拡大が循環器疾患の予防に寄与してきた経緯を述べ,ICTの進化によって新たに分かってきた知見を紹介する.また,ICTのさらなる利活用による今後の展望について論じる.
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