特集 「放射線リテラシー」をめぐる課題
食品に関する指標—内部被ばくの考え方
谷 幸太郎
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1国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所 計測・線量評価部 内部被ばく線量評価チーム
pp.842-847
発行日 2018年11月15日
Published Date 2018/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209009
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はじめに
2011年3月11日の福島第一原子力発電所事故(以下,福島原発事故)によって放射性ヨウ素(131I)および放射性セシウム(134Csおよび137Cs)が環境中に放出され,放射線被ばくが懸念された.これらの核種が含まれた飲食物の摂取による一般公衆の内部被ばく線量を低減するため,2011年3月17日に暫定規制値が設定された.また,2012年4月1日には,長期的な視点でより一層の食品の安全と安心を確保することを目的とする新たな基準値(現行基準値)が設定された.
本稿では,暫定規制値および現行基準値の根拠,内部被ばくの現状について述べる.また,131Iが母乳に至るまでの授乳婦の体内動態を解析した筆者らの研究を紹介し,最後に内部被ばくを考えるうえで留意すべき点に触れる.
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