「公衆衛生」書評
—浦島充佳(著)—日常診療で使えるVBM(価値に基づく医療)の指南書—『《ジェネラリストBOOKS》外来でよく診る—病気スレスレな症例への生活処方箋—エビデンスとバリューに基づく対応策』
今村 英仁
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1公益財団法人慈愛会
pp.773
発行日 2018年10月15日
Published Date 2018/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208990
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「Value-based Medicine(VBM)とは何か?」この本を手に取った方はまずこの疑問を持たれることだろう.そもそも著者は,EBM(科学的根拠に基づく医学)の大家であり,「いかにしてエビデンスを作り,利用するか」を著した書籍や,その基本となる臨床統計学の教科書など,多数のEBM関連著書を出版している.
一見,エビデンス(科学的根拠)とバリュー(価値観)では正反対の概念のように思われる.とうとうEBMに愛想を尽かしてVBMに寝返ったのかなと言うと然にあらず.この本を読むとVBMはしっかりしたEBMの基盤の上に成立することがよくわかる.“治療”の際にはEBMが大きな力を発揮する.“予防”の際もエビデンスはしっかりと蓄積されてきている.ただ,「馬を水辺に連れていくことはできても,水を飲ませることはできない」.エビデンスを振りかざしてもなかなか実行してもらえないのが予防の世界である.そこで出てくるのがVBMである.
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