連載 Coda de Musica 心に響く音楽療法・3
最後まで“自分らしく”生きるためには?—エミリーが見た光
三道 ひかり
1
1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室
pp.253-255
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208858
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終末期に出会う,新たな自分
前回は,ニューヨークで最初に出会った2名の患者さんとのやりとりを通じて,彼らの光となり伴走者となる音楽療法の役割を説明した.
当時,在宅ホスピスでは週に1回,他職種との会合ミーティングが行われていた.よく話題となったのは,終末期の疾患であると診断されたのち,ホスピスチームと初めて接触する患者さんの反応であった.ホスピスという言葉で終末期や死という言葉を連想し,サービスを拒否してしまう患者さんが数多くいたからである.病院治療からホスピス・ケアへ移行する.それによって,かつて自分の中に全く存在してなかった,「人生の終わり」という現実を突きつけられる.自分がそれまでに構築してきた“自己”が脅かされる.そのことへの恐怖反応が生じていたに違いない.
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