特集 地域保健法20年
地域保健法と保健所—これまでとこれから
宇田 英典
1,2
1全国保健所長会
2鹿児島県伊集院保健所
pp.210-215
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208849
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はじめに
2017(平成29)年は,1937(昭和12)年の「保健所法」制定から80年目であり,1997(平成9)年に施行された「地域保健法」から20年目の節目の年であった.保健所は,戦後のさまざまな健康課題に対し,地域における公衆衛生の第一線機関として,多岐にわたる公衆衛生活動を地域密着型で積極的に展開し,わが国の公衆衛生の改善に大きな成果を上げてきた.
しかしながら,20世紀後半から急速に進んだ少子高齢化,疾病構造の変化,国民のニーズの多様化,地方分権や行財政改革の推進といった社会環境の変化を踏まえて,1994(平成6)年に保健所法が地域保健法に改正され,その3年後に全面施行された.保健所法に基づいて全国一律に行われていた公衆衛生活動から,市町村と保健所の重層的地域保健体制へと切り替わることになった.
本稿では,地域保健法の施行後,保健所がどのような活動を行い,どのような成果を上げてきたのか,また,これからの保健所のあるべき姿,機能強化すべき分野,それを支える公衆衛生医師の将来像について述べる.
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