特集 ニュー保健所構想とこれからの保健活動
これからの地域保健とニュー保健所構想
芝池 伸彰
1
1厚生省健康政策局計画課
pp.91-95
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900189
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はじめに
近年,社会状況の著しい変化に伴って,地域保健あるいは医療サービスを取り巻く環境,諸条件も大きな変貌を遂げつつあるが,これらの変化の一番の基本軸は,やはり高齢化社会の到来であろう。医学の進歩,公衆衛生の向上などによる平均寿命の著しい伸長から,わが国は既に世界一の長寿国となっているばかりでなく,21世紀においては,4人に1人が65歳以上の老人という世界で最も高齢化の進んだ国の1つになることが予測されている。
高齢者1人1人の生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)を尊重しつつ,来るべき高齢化社会(超高齢化社会)をいかに明るく活力あるものにしていくかということは,社会全体で真剣に検討すべき重要な課題である。また,成人病をはじめとする慢性疾患の増加など,近年の疾病構造の変化に対応して,疾病予防や健康の保持増進についての国民への普及啓発を一層進めるとともに,予防から診断・治療・リハビリテーション,さらには末期ケアをも含めた包括的な保健・医療サービスを供給できる体制を確立することが,ますます重要な課題になってきている。
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