特集 感染症に関するサーベイランス
東京都の蚊媒介感染症に対する総合的なサーベイランスの現状
貞升 健志
1
1東京都健康安全研究センター微生物部
pp.42-49
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208812
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蚊媒介感染症
蚊が媒介する主な感染症には,「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)で四類感染症(全数報告)のデング熱,チクングニア熱,ジカウイルス感染症,日本脳炎,黄熱,ウエストナイル熱,マラリアが知られている.2013〜2016年のわが国および東京都におけるこれらの疾患の患者数を表1に示す.わが国においてこの4年間で患者報告がないのは黄熱とウエストナイル熱であり,それ以外の疾患は毎年,患者の発生が報告されている(ジカウイルス感染症を除く).近年,最も患者報告数が多いのはデング熱であり,全国で249〜341例(年ごと:以下,同じく),都内では67〜162例であった.次にマラリアで,全国で37〜57例,都内では12〜27例が報告されている.
上記の疾患のうち,日本脳炎と2014年のデング熱を除いて,デング熱,チクングニア熱,ジカウイルス感染症およびマラリアは全て海外感染症の輸入例である.すなわち,海外に渡航した人が現地で病原体を有する蚊に刺され,渡航中または帰国後に発症し,国内で医療機関を受診したことになる.
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