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特集 日本脳炎
日本脳炎の媒介蚊—その生態と生理
Ecology and Physiology of Vector Mosquito of Japanese Encephalitis Virus
高橋 三雄
1
Mitsuo Takahashi
1
1国立予防衛生研究所
1National Institute of Health, Tokyo
pp.215-222
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904402
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I.緒言
日本脳炎の媒介に関与しているカの種類は,その流行地域によつて若干違つていることが知られているが,全体として最も重要な媒介カの働きをしているものはコガタアカイエカCulex tritaeniorhynchusである。コガタアカイエカには二つの亜種型が知られており,原亜種のC. t. tritaeniorhynchusはインド,パキスタンから西の中近東,アフリカにわたつて分布し,他の一つであるC. t. summorosusはインド,パキスタンで原亜種と境を接して,東南アジア,インドシナ,インドネシア,フィリピン,中国,台湾,朝鮮,日本などに分布している。
注日せねばならぬことは,日本脳炎ウイルスの分布領域が,コガタアカイエカのsummorosus亜種の分布ときわめてよく一致していることである。実際,これらの地域では,場所によつてCulex vishnuiやCulex gelidusなどのカが媒介カとしてコガタアカイエカと同様に,あるいはそれ以上に,役割を果していることが認められてはいるが,日本脳炎がヒトの流行病として多少とも問題になつている日本,朝鮮,台湾,中国などの地域では,いずれもsummorosus亜種のコガタアカイエカが重要な媒介力であると考えられている。
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