特集 感染症に関するサーベイランス
国際保健規則を中心とするイベント・ベース・サーベイランス(EBS)の現状と課題
中島 一敏
1
1大東文化大学スポーツ・健康科学部健康科学科
pp.34-40
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208811
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はじめに
サーベイランスとは,データの収集,分析,解釈,還元を継続的,組織的,かつ,タイムリーに行うことをいう.サーベイランスの目的は,アウトブレイクの探知,トレンドの把握,発生のベースラインの把握,将来予測,対策の評価などさまざまであるが,1つのサーベイランスで全ての目的をカバーすることはできない.感染症危機管理のためのサーベイランスには,想定外の感染症危機事例やアウトブレイクを早期に探知することが求められるが,インディケーター・ベース・サーベイランス(indicator-based surveillance:IBS)といわれる従来型のサーベイランスには限界がある.近年,国際的には,イベント・ベース・サーベイランス(event-based surveillance:EBS)が広く活用されるようになっている.
本稿では,EBSの現状と課題について,国際的な法的枠組みである国際保健規則(International Health Regulations:IHR)と併せて述べる.
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