特集 食中毒の新たな課題
あまり知られていない食中毒
A群溶血性レンサ球菌による集団食中毒
四宮 博人
1
,
林 恵子
2,3
1愛媛県立衛生環境研究所
2松山市保健所衛生検査課
3元 愛媛県立衛生環境研究所
pp.506-511
発行日 2017年6月15日
Published Date 2017/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208686
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はじめに
A群溶血性レンサ球菌は,上気道炎や化膿性皮膚疾患などの原因菌で,続発症として急性糸球体腎炎やリウマチ熱などを引き起こすことが知られている.「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)では,A群溶血性レンサ球菌咽頭炎が小児科定点報告の5類感染症に,劇症型溶血性レンサ球菌感染症が全数報告の5類感染症に,それぞれ位置付けられている.同菌による咽頭炎の感染経路は,主として保菌者からの飛沫感染や接触感染である.一方,食品を介した集団感染事例も報告されているが,わが国での食中毒の届け出は極めて少ない1)2).2012年8月に愛媛県内で発生した同菌による集団食中毒事例について,概況,特徴,疫学,細菌学的検討,予防法,行政上の取り扱い等について解説する.
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