特集 行政保健師の質の保証—卒後教育・CPD
結核対策を支える保健師教育・研修制度の歴史と現在の課題
小林 典子
1
1公益財団法人結核予防会
pp.923-928
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208567
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
結核が薬で治る時代となった1960年代,家庭訪問の際に保健師(当時は保健婦.本文では師と表記する.看護師も同)は必ず「薬をのんでますか?」と患者に質問をした.当時,「飲んでますか?」というアリナミンのテレビコマーシャルが話題になっていたことから,「のんでますか?」と聞く保健師は“アリナミン保健師”と揶揄された.
当時を知る医師にその時の状況を聞いたことがある.「一番大切なことを聞いているのだから,誇りをもって『のんでますか』と聞くように,研修会で保健師さんを励ましたことを覚えている」との返答があった.研修で最新の知識を学んだ保健師は,薬をのまないとどうなるのか,経験と知識の両面から服薬中断による弊害を予測して,「のんでますか?」と患者に問いかけていたのである.その研修は現在も結核予防会結核研究所にて継続されている.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.