特集 結核対策の動向
国鉄における結核対策の歴史と課題
前田 裕
1
Yutaka MAEDA
1
1国鉄中央保健管理所
pp.556-561
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206906
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■結核管理のあゆみ
1.戦前および戦時中の結核管理
国鉄における結核対策の歴史は古く,昭和初期から採用時身体検査規程に肺活量,栄養指数(カウプの指数)の合格基準を定め,既往歴その他を調査し,また職員の定期健康診断以外に体重測定,喀痰の結核菌検査を行うなど,結核有病者の不採用,結核発病者の早期発見療養などにつとめてきた.
そのころ戦争の影響が次第に強くなっており,兵役および外地鉄道への出向,結核患者の復員などのため,正確な成績を得ることは困難であったと思われるが,当時の記録によると,結核による休業率は昭和12年(職員総数の1.82%),昭和13年(2.07%),昭和14年(2.59%),昭和15年(3.19%),昭和16年(3.69%),昭和17年(4.27%)と増加の一途をたどっていた.
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