連載 [講座]子どもを取り巻く環境と健康・6
妊娠期化学物質曝露と母の栄養状態および次世代影響—特に母親の脂質への影響
那須 民江
1
1中部大学生命健康科学部
pp.559-564
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208242
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妊娠期の生理は通常時と違うことを理解し,この生理的状況をかく乱しない化学物質環境にしなければいけない.その一例として代表的なプラスチック可塑剤のフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)の疫学研究と動物実験を紹介する.①妊娠期の後半に向けて,血中トリグリセリド(TG)や脂肪酸濃度が上昇する.②妊婦の主要な脂肪酸のパルミチン酸も妊娠後半に向けて上昇する.③しかし化学物質によっては,この上昇を抑えてしまうものがあり,この一例としてDEHPが挙げられる.④妊娠マウスにDEHPを曝露した場合も,疫学研究と同様にTGや脂肪酸の上昇が抑制される.⑤妊娠期化学物質曝露の次世代影響を考える場合には,母親の栄養状態に与える影響も加味することが必要である.
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