特集 肥満とやせ
女性のやせと次世代への健康影響
堤 誠司
1
,
高田 恵子
1
,
倉智 博久
1
1山形大学医学部産科婦人科学教室
pp.484-487
発行日 2010年6月15日
Published Date 2010/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101821
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はじめに
母体の妊娠前の体型と出生した児の転帰については国内外より数多くの報告がなされ,妊娠前のbody mass index(BMI)が高すぎても低すぎても,母児双方における合併症の危険性が上昇することが知られている.すなわち,妊娠する世代の女性の体型を標準に保つことが非常に重要である.
妊娠前の肥満は妊娠糖尿病1),妊娠高血圧症候群2),肩甲難産3),帝王切開4)などのリスクを上昇させる.一方,「やせ」妊婦は安産であることが多いが,妊娠前のやせは早産5)や低出生体重児6)のリスクを上昇させる.
近年の多くの疫学研究より,母体の妊娠前の体型は出産時の合併症に影響するのみならず,子どもの将来の生活習慣病が,受精時,胎芽期,胎児期,乳幼児期にその素因が形成され,その後の環境の作用を受けて疾病として発症することが明らかになりつつある.
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