特集 熱中症
すまいと熱中症
伊香賀 俊治
1
1慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科
pp.397-400
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208200
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2010年の猛暑で熱中症患者が急増し,東京都だけで2009年の6倍の4,679人が救急搬送された1).このうち41%が住宅内での事例であり,その72%が65歳以上の高齢者であった1).また,東京都監察医務院の報告2)によれば,高齢者の室内熱中症発生割合は猛暑だった2010年が78%であったのに対し,猛暑ではなかった2011年の方が87%に増大している.これは,東日本大震災に伴う電力需給のひっ迫による夏の節電対策で冷房を自粛する高齢者が増えたことも一因となっている可能性が示唆される.また,熱中症患者は外気温が高い昼間(5:00〜17:00)だけでなく夜間(17:00〜5:00)も同程度に多い.このことから本人も家族も気が付きにくい就寝中の熱中症にも注意を払う必要性が示唆される.
本稿では,住宅内の具体的な発生場所,日常生活のどのような場面で発生しているのか,高齢者の住宅内熱中症発生の傾向,集合住宅と一戸建住宅との発生状況の比較,近年の住宅仕様の影響,住まい方による予防方法など住環境からみた熱中症とその予防について解説する.
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