特集 熱中症
地域における熱中症予防の取り組み—保健指導の効果的なアプローチ
村山 貢司
1
1一般財団法人気象業務支援センター
pp.393-396
発行日 2015年6月15日
Published Date 2015/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208199
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熱中症の予防情報を筆者がマスコミや国を通じて流すようになってから10年が経過した.この間,夏は猛暑が続き,特に2004年と2010年は記録的な暑さで,猛暑というより熱波という言葉がよく使われるようになった.2010年には熱中症による死亡者が1700人を超えたが,熱中症が引き金になって持病が悪化し死亡した関連死はかなり多くなったことが推定される.国や自治体は,熱中症対策として情報や講習会,パンフレットなど様々な取り組みを行い,その結果熱中症という言葉が広く知られるようになった.
以前から熱中症による事故防止に努めてきた学校現場では死亡者が減少しており,一般の熱中症でも救急による搬送は増加しているものの,死亡者数は減少する傾向にある.このことは一般に熱中症が理解され,暑熱環境で体調を崩した場合にはすぐに熱中症の対応がされるようになったと理解できる.しかし,地域別の死亡者数を調べると,熱中症に対する取り組みが熱心な地域とそうでない地域では明らかに差がある.熱中症に対する知識の普及啓発,予防活動は盛んになってきているとは言え,まだまだ不十分な状況である.
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