特集 危険ドラッグ対策
薬物乱用や依存の問題をもつ人の回復支援における看護職のあり方—拒否の連鎖から支援の連鎖へ
寳田 穂
1
1武庫川女子大学看護学部
pp.237-240
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208155
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薬物乱用や依存の問題をもつ人(以下,依存症者)は,薬物の作用や後遺症によって精神症状が生じていたり,他の精神障害を合併していたりすることも多い.また,乱用薬物の影響や生活の乱れから,肝臓疾患や感染症といった身体的な疾患に罹患するリスクも高い.薬物使用による急性中毒,事故や自殺企図による外傷等で,救急搬送される人も少なくなく,近年では,危険ドラッグによるものと疑われる救急搬送患者が急増している.依存症者は,依存症の治療目的でなくても,様々な健康上の問題で保健医療の対象となっている.さらに,家庭内での小児の虐待などの事例において,薬物の問題が関連していることもあり,周囲の人たちの健康に影響を及ぼしている場合もある.
しかし,薬物の問題をもっている本人が自身の問題に気づき保健医療の場に訪れることは少ない.そこで,他の健康上の問題で保健医療の場につながった時に,看護職者が依存の問題に気づき,適切なケアを提供できれば,看護職者は依存症の治療や回復支援に向けて重要な役割を担うことになる.
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