特集 女性の健康を考える
女性の健康—産業保健の立場から
野原 理子
1
1東京女子医科大学医学部衛生学公衆衛生学(一)
pp.105-110
発行日 2015年2月15日
Published Date 2015/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208118
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
女性の就業率が増加し,今後ますます女性の活躍が期待される中,働く女性が生涯にわたって健康を維持,増進していくためには,職域における環境整備が極めて重要である.職域における女性の健康管理を考える際,大きく二つの視点で考えると整理しやすい.一つは仕事(職場環境)による健康影響であり,もう一つは女性のライフサイクルによる健康影響である.
一つ目のいわゆる職場環境は,危険有害業務や働き方の多様性など,まさしく産業保健分野が主体となって整備しなければならない課題である.一方,二つ目の女性のライフサイクルを考慮した職域での環境整備は,地域保健との連携により効率的で効果的に進めることができる.なぜなら,地域保健領域では,母子保健事業やがん検診など,地域の女性に対する様々な取り組みが既に推進されているからである.地域で行われている取り組みを職場が理解し,働く女性がそれらを利用しやすくする体制を整備することによって,すぐに女性に必要な支援を行うことができると考えられる.一つ目の視点は産業保健に特化していることから,本稿では主に二つ目のライフサイクルに関する職域での女性に対する健康支援策などと今後の課題,地域保健との連携について概説する.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.