特集 公衆衛生とエイズ
エイズ研究の動向
徳永 徹
1
Tohru TOKUNAGA
1
1国立予防衛生研究所エイズ研究センター
pp.654-658
発行日 1988年10月15日
Published Date 1988/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207782
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■はじめに
エイズは,HIV(Human immunodeficiency virus)の感染により惹起される免疫不全を主徴とする疾患である.1981年米国で初めて報告されて以来,世界の多くの国々に急速に広がり,今日までWHOに届けられたエイズ患者数は10万人を突破し,HIV感染者は米国だけでも約150万人と見積もられている.エイズはいまや世界的にpandemicな状態になりつつあるといえるだろう.
将来の予測については,HIVの潜伏期間が平均4〜6年,あるいはそれ以上であるのに,エイズの発見後いまだ7年を経たに過ぎないから,正確な判断は困難であるが,さらに著しく広がることは不可避であり,それによる死亡者が人口統計学に与える影響は大きな戦争に匹敵するといわれている.欧米諸国の経済的負担も膨大なものとなることは明らかである.
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