特集 地域医療計画と公衆衛生
離島・へき地の保健医療計画
有川 勲
1
Isao ARIKAWA
1
1鹿児島県保健環境部
pp.230-233
発行日 1988年4月15日
Published Date 1988/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207657
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
鹿児島県では改正医療法に基づく「鹿児島県保健医療計画」を昭和62年6月1日付をもって公示した.全国では神奈川,兵庫に次いで3番目ということであるが,法改正後任意的記載事項を省かず,また,保健分野も盛り込んだ計画としては最も早かったものと自負している.このように計画発表が早かったのは,本県では大規模病院の進出問題が大きかったこと,いわゆる"駆け込み申請"への対応に苦慮していたためとみられているようであるが,我々としては決してそれのみが早かった理由ではないものと考えている.
その理由の第1は,本県では昭和57年に県,県医師会,県歯科医師会,県薬剤師会,大学の5者で構成する「地域保健医療協議会」が設置されており,計画づくりのコンセンサスを得る場が既にあったことである.第2には,この協議会において保健医療課題の多くが検討し協議されてきていたこと,第3には,計画策定の前提となる各種基礎調査,すなわち,県民傷病実態調査,県民保健医療意識調査,医療施設機能調査,医療施設管理者意識調査を実施ずみであったことである.第4には,県医務課に課長級の担当参事をおき,計画づくり体制強化を図ってきたこと,そして第5には昭和61年に県政の総合的施策の方向を示す「県新総合計画」が明らかにされたばかりであり,地域保健医療計画はこの中の保健医療部門を敷衍する形で作業を進めることができたことである.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.