特集 公衆衛生の課題と展望
家庭保健
中島 正治
1
Masaharu NAKAJIMA
1
1厚生省健康政策局総務課
pp.175-177
発行日 1988年3月15日
Published Date 1988/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207643
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■家庭保健の背景
疾病予防,治療,リハビリを含めて,幅広い意味で保健という言葉を用いることにしても,「家庭保健」という言葉は,母子保健,学校保健,成人保健などに比べて余り聞き慣れない用語である.他の用語と同様,「家庭保健」も保健を考える場合の一つの視点を示しているが,この「家庭」という極めて常識的で日常的な視点が保健という慨念の中で,これまで特に注目されずに,最近になってにわかに関心を呼んでいる理由は何なのであろうか.
わが国だけでなく,先進工業国においてはいずれも,近年の国民の生活様式の変化に著しいものがある.衣食住の基本的要素についてだけでも,これらの素材の生産,流通の形態,またその利用の方法,地理的,物理的,人的要素まで含めた住環境など,社会環境は大きく変貌を遂げてきている.
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