ぷりずむ
健やかに老いること
園田 真人
1
1福岡県粕屋保健所
pp.878
発行日 1987年12月15日
Published Date 1987/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207590
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"健やかに老いる"というスローガンがいわれ初めたころは,なかなかいいスローガンだと感じたが,あらたまって,すべての日本人が"健やかに老いる"ことが出来るのだろうかと考えてみれば,甚だ心もとない感じがする.
呂新吾(中国明の人)は「老いは嘆くに足らず,嘆くべきは,これ老いて,空しく生くることなり」といっているが,老いて空しく生きなかった人も少なくない.斎藤茂吉は晩年に肋膜炎になり重体になったが,歌を作るための気迫によって健康をとりもどし,66歳から69歳の間に20冊の歌集,評論集をまとめ,72歳まで生きぬいた.貝原益軒には多くの著書があるが,農業全書(67歳),大和本草(79歳),養生訓(84歳)など高齢になってからのものである.しかし,すべての日本人がこのような一生を送ることができるものではない.
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