衛生公衆衛生学史こぼれ話
42.浜松の大福餅事件
北 博正
1
1東京都環境科学研究所
pp.729
発行日 1987年10月15日
Published Date 1987/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207559
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静岡県浜松市の中学校(旧制)の運動会は娯楽の少なかった当時,年間最大の催しごとの一つで,市民は多数見物にでかけた.この際,在校生及び父兄,多数の来賓等にお土産として大福餅が配られるのが恒例となっていた.ある年,運動会が滞りなく終了し,くだんの大福餅は現場で食べた人もあれば,家に持ちかえって家族一同で食べた人も多かった.ところが夜半すぎから,下痢,嘔吐,腹痛,熱発を主症状とする患者があちこちに多発し,医師で発病する人もあり,パニック状態になり,他地区から救護班が派遣されたほどであった.
まもなくこの疾病は,サルモネラ属のゲルトネル菌による集団的な細菌性食中毒であることが判明し,適切な対策により一件落着した.
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