特集 運動と食生活
健康増進の世界的趨勢
松田 朗
1
Akira MATSUDA
1
1厚生省保健医療局健康増進栄養課
pp.588-592
発行日 1987年9月15日
Published Date 1987/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207527
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■はじめに
近年の国民栄養の向上,公衆衛生・生活環境の改善,さらに医療技術・医療体制の進歩は,かつての結核等の感染症を中心とした疾病構造を一変させ,乳幼児・小児の死亡率の大幅な改善ともあいまって,国民の平均寿命を飛躍的に延長させた.しかし,一方で労働環境における機械化,家庭生活における電気製品の普及等による省力化は,国民全体に運動不足を招き,また食生活習慣の変化等ともあいまって,虚血性心疾患,脳血管疾患,高血圧,糖尿病,さらには悪性新生物など,いわゆる成人病が疾病問題の中心となってきた.
これらの成人病は,日頃の生活習慣,食生活・運動習慣・休養のとり方などに大きく依存し,健康に対する意識的な努力を行うことによって予防することがかなりの程度まで可能であるところから,従来の早期発見・早期治療に加え,健康づくりという観点から対策を推進することが重要となってきた.
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