特集 医学教育と公衆衛生
生涯教育と公衆衛生の役割
重松 峻夫
1
Takao SHIGEMATSU
1
1福岡大学医学部公衆衛生学教室
pp.457-460
発行日 1987年7月15日
Published Date 1987/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207499
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■はじめに
現代社会は,その発展に伴い急速に変化していて,それに対応していくためには,いずれの職業の人もその生涯を通じてそれぞれに学習を続けていく事が必要となってきています.ことに専門職(profession)に携わるものは,その専門機能を果たすために,そして与えられた自立性—専門領域における自由裁量権—を正しく行使できるために,その基礎となる専門領域における体系化された知識と科学的技術に関して,生涯を通じて学習し,研修を続けなければなりません.わが国における専門職の生涯研修は,諸外国に比べて制度的に大きく立ち遅れています.
ことに保健医療をめぐる背景は,近年急速に変化していて,保健医療サービスはその変化への的確な対応を求められています.その対応への動きの中で,医師の生涯研修の問題が取り上げられ,特に地域保健医療,プライマリ・ケアへの指向が強まるとともに,医学界の大きな課題となってきています.日本医師会では,昭和60年12月,「生涯教育制度化のガイドライン」を制定し,昭和61年2月以降各都道府県,郡市医師会で,それに基づいて試行が行われています1).
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