特集 医学教育と公衆衛生
日本医師会の生涯教育制度化と公衆衛生
村瀬 敏郎
1
Toshiro MURASE
1
1日本医師会
pp.461-466
発行日 1987年7月15日
Published Date 1987/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207500
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■はじめに
日本医師会における生涯教育制度は,官制の制度としてではなく,民間の学術団体である日本医師会(以下,日医と略す)自らが始めたことに大きな特長がある.その基本は,医師自らが,自己の内発的動機づけにより行うところにある.すなわち,生涯教育は,企画されたプログラムに従い行うべき性質のものではなく,自らの積極的な意志に基づき行うものである.しかし,個人個人の努力には限界もある.この生涯教育を継続するための支援として,あえて,日医が生涯教育を制度化することにより,より個人の生涯教育を進めやすくするものである.したがって,その根底には,医師の主体性を損なうことなく,十分に活かすことが考慮されている.具体的には自己が自己の判断で生涯教育と認めたことは,すべて生涯教育における学習として,これを記録し,後に申告するものである.これを自己申告制と呼んでいるがこれが基本となっている.また,学習の課題も自由であり,単に医学ばかりでなく地域医療の実践なども重要な課題とし,その周辺としてターミナルケアに必要な人間そのものの理解に関する学問など広範なものも含めている(本文表参照).
このため,特に公衆衛生に関して特定されたものはないが,広義に公衆衛生を考えた場合の包括医療の実践については,重要な課題となっている.以下,本会の生涯教育制度化について述べ,おわりに公衆衛生との接点について触れたい.
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