カラーグラフ 臨床外科病理シリーズ・6
早期胃癌—多発胃潰瘍との併存
廣田 映五
1
,
太田 惠一朗
1
,
板橋 正幸
1
,
北岡 久三
2
,
小黒 八七郎
3
,
吉田 茂昭
3
1国立がんセンター病理
2国立がんセンター外科
3国立がんセンター内科
pp.968-969
発行日 1983年7月20日
Published Date 1983/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208369
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胃潰瘍の診断の下に,長期経過観察中に発見された,比較的小さい早期胃癌の例を呈示する.
症例(0-28179),61歳,男.14年前,空腹時痛があり,当院を受診し,上部消化管X線検査,並びに内視鏡検査により胃体中部後壁の潰瘍と診断された.その後,上記検査にて経過観察されていた.約1年前に,問題の病変とは異なる部位に,すなわち,幽門部前壁大彎寄りに異常が指摘され,Ⅱc型早期胃癌の疑いとされた.しかし,生検は施行されず,決定的悪性所見を見なかつたため,その後,約1年経過したところ,同部にヒダ集中を伴う小さい陥凹性病変が発見された(図7).生検を施行したところ,分化型管状腺癌の組織片が得られた(図8).直ちに当院外科に入院し,胃幽門側部分切除およびR2リンパ節郭清術が施行された.
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