論考
胃がん・子宮がん集団検診の費用便益分析の現状
福田 勝洋
1
,
三宅 浩次
2
Katsuhiro FUKUDA
1
,
Hirotsugu MIYAKE
2
1久留米大学医学部公衆衛生学教室
2札幌医科大学公衆衛生
pp.766-770
発行日 1985年11月15日
Published Date 1985/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207148
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■はじめに
老人保健法の成立によって,日本では胃がんと子宮がんの検診が健康診査項目として取り上げられ,40歳以上の国民は胃がん検診を,また,30歳以上の女子は子宮がん健診を受けるよう定められた.これらの集団検診は,胃がんまたは子宮がんの早期発見を促し,早期治療によって致命率の低下と生存率の増大をもたらし,ひいては晩期がん罹患率の低下と死亡率の低下を目指して行われる.当初は,どちらかというと,これらの諸率で示されるような集団検診の効果が主として問題にされる傾向にあったが,最近はそれらの検診活動に伴う種々の費用と共に,検診活動が生み出す種々の便益を考察しつつ検診活動の促進や改善に寄与しようとする費用便益分析cost benefit analysis(CBA)と,同じ目的で実施する異なる検診方法の効果を比べて健診方法の選択に寄与する費用効果分析cost effectiveness analysis(CEA)とがしばしば実施されるようになった.ここでは,これらのうち胃がんと子宮がんを扱った最近のものを集め,それらの現状と問題点を概観した.
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