日本列島
看護婦の充足
井口 恒男
1
1岐阜衛生環境部地域保健課
pp.772
発行日 1985年11月15日
Published Date 1985/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207150
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岐阜
看護婦の需給状況をみると,全国的には需要がほぼ満たされたとみられており,看護婦確保のための修学資金についても厚生省では貸与者を減らし,総額の減額への方向にあるようである.しかし,看護婦の需給状況を都道府県別にみると大きな差違がみられ,この差は医師数の差をはるかに凌駕している.人口10万対医師数においても,県間の差は最小の埼玉81.4(昭和57年末,以下も同年)から,最多の徳島200.1と相当の開きがみられるが,10万対看護婦においては最小の埼玉262.5から最多の高知757.2(いずれも准看護婦を含む)とさらに大きな開きがみられる.岐阜県においても,医師数は113.6の最小から5位,看護婦数339.2の最小から6位と,両者とも全国レベルを大きく下回っている.看護婦の場合は,東海地方の最大の需要県である愛知県が385.0と全国最小から10位,静岡県が同じく7位など,看護婦不足は東海地方における慢性的な現象となっている.
岐阜県には県立病院が3病院あり,昭和60年4月看護婦定数844名に対し47名の欠員がみられ,その対策に苦慮している.この欠員の原因として,①他府県に比べ低位の病床不足(昭和56年末人口10万対924.1)であり,この数年患者増に対応して県立病院の他,県内主要病院が増築増床をしていること,②名古屋を中心とした愛知県において看護婦需要が高い状況を持続していること,③従って容易に職場を変えることができ,同一病院での定着性が低いこと,などである.
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